俺は今前の扉の前に立っている。
カイに出られないようにしてくれって言われて、なみは後ろの扉の前に立ってる。
「「お仕置きの時間だよ…?」」
そう言った時の二人の顔は、なんだかワクワクしている様に見えた。
…なんだか言葉に表せないような、事をしているように見えて恐怖を感じるよ;
「はははっ、苦しいか?苦しいだろ?もっと苦しめよ。」
カイ、俺から見ると残酷だぞ。お前は二重人格の持ち主か?
「辞めて欲しいのかしら?ならもっと泣きなさい?もっと泣いて苦しみなさい。それでも辞めないけれどね。」
女王様がここにいらっしゃいます。誰か家来などはいませんか?いるのでしたら止めてくださいませ。
俺はこんな女王様のいる国は生きたくないです。
それ以上に今この状況を見ていたくないんだけど。この教室から出たいんだけど…外で見張りとかダメですかね。

「健、俺この教室にいる時はあの二人に逆らわないようにするよ。」
「それがいいかもな。俺も今さっきそれを考えた。」

拷問だよなこれって…
あんなに瑠璃に対して、何かしら言ってた奴等…今は、泣きながら謝っていて逆になんだかかわいそうに見えてきた。
「本当にすみませんでした!もう言わないので許してください!」

見ているこっちは、怖いよ。
あんなに穏やかなカイまで、あんなに怖く見えるなんてな。
やっぱり双子なんだなって思えるところが一つ。ある程度の言葉が重なって、息ぴったりだ。

―なみ―
健、ここからでもわかるくらい顔色変わってる。大丈夫なの?
まぁ、かなとカイを見てそうなってるんだろうけど…
残酷だしなぁ、あの二人のしてる事って…
実際に暴力をしてるわけじゃないけど言葉だけであんなにダメージって与えられるもんなんだね。初めて知ったよ。
でも…
《瑠璃を侮辱した事を後悔させてあげるわ。ちょっと全員座りなさい?》
その言葉を言った時のかなの目…鋭くて冷たかった。見ていただけで背筋が凍ったように寒気がした…
でもそれと同時に、瑠璃の事を本当に大切にしてるんだって理解できた。私はこないだ、瑠璃と中学の時に一回あってることを思い出した。
今思えば、あの時の瑠璃の瞳曇ってるように見えたんだよね。
何も映していないように…遠くから見てると泣いているようにも見えた。
悲しそうな瞳で、苦しんでいるように見えた。
私、本当になんで声かけたんだろう…
後ろから刃物を持って襲い掛かろうとしたから?
卑怯だからって言ったけど、瑠璃にとっては余計だったのかなって思う。
自分から話しかけた感じで、忘れないとかいったのに忘れて…最低だな。私…
《また前みたいにいじめられ続けてろって言うの?》
冷と付き合ってから、いじめを受けてるのは知ってた。
毎日のように、地味な嫌がらせを受けててなんで明るくいられるのかとか思うときもあった。
私は何を見てたんだろうね…瑠璃が本当は苦しんでるって何でわからなかったんだろう…
かなに言われるまでわからなかったな。
かなとカイは、しっかりと瑠璃を見てたんだ。引っ越して何年か経ってるって聞いてたけど、それでもきちんと見てるんだ。
「瑠璃をもう苦しめたりしないで。また何かするようなら…」
「俺とかなが相手してやるから覚悟しとけよ?」
「「「はい!!」」」
あっ、何だかんだ考えてたら終ったみたい。
何だろう、怒られてなかった子達が何人か気を失ってる。大丈夫かな?
明日から不登校とかの子が出なきゃいいけどね。