電車から降りて、駅を出た。
のんきな空気が流れている町にヤクザとか…;
まぁ、何となく想像はついていたけどな。うん。
えーと、カイのメモによるとここの道をまっすぐ行けば分かるって…メモの意味ないじゃんかよ。
とにかくまっすぐ歩いていった。


はい、分かりましたー☆(-▽-)>
何この大きなお屋敷は、何処かの貴族でしょうか?でかいってNOOOOOO!!
あ、やばい。テンションおかしくなりそう。

今ここに瑠璃がいるんだ。行くしかない。
《睨まれたら怯むことなく睨み返せ》
カイの言葉を思い出して、俺は覚悟を決めた。
チャイムを押そうとしたら、中から一人出てきた。
背の高いスキンヘッドの男。サングラスかけて顔の左頬に少し刺青はいってた。
「何だこのガキ、なんか用事か?」
とか言いながら睨まれた。
少し怖気づいたけど、怯まないで睨み返す。
「ここにいると思うんですが、瑠璃の同級生です。プリント預かっていました。」
「瑠璃ってお嬢か…入れよ。」
「お邪魔します。」
一応入れてよかった…でもこのプリントは、瑠璃の手には渡らない…
中に案内されて、一つの部屋の前まで案内された。
ふすまの前で座って、中の人に話しかけた。
「失礼しやす、御頭。お嬢に客です。」
「私?」
「通せ。」
「はいれ。」
ふすまを開けてくれた。
中に座ってたのは、さっき教室に来たでかいおじさんと着物を着た瑠璃だった。
紺色の生地に、蓮の花の模様。
シンプルなのに、凄く似合ってた。
「冷…?」
「よう。お邪魔します。」
少しお辞儀して、中に入った。
なんともいえない空気が流れてる。
怖いっての;
「おい、ここがどんな奴等がいるって分かってるんだろ?何かされるって事考えなかったのか?」
「分かってますが、俺は瑠璃に用があってきました。」
「なにさ。その用って…」
「これ、転校届け。」
瑠璃に一枚の紙を見せた。
瑠璃が手を伸ばして受け取ろうとしたときに、取られないように腕を引っ込めた。
「何すんの?」
「こうすんの。」
ビリッと音を立てて、二枚になる紙。
何度も破いて、原型をなくした。もちろん、破いた紙は家で捨てる為ポケットに入れた。
「何すんの?!」
「それはこっちの台詞だ。辞めるとかなんでだよ。あんなに努力したのに辞める時には、やけに素直じゃねぇかよ。」
「辞めるのにあんたに許可が必要なの?関係ないでしょ?」
「あぁ関係ねぇよ、でもよ…お前親を楽させるって言ってたじゃねぇか。奨学金のある公立なんてここだけだぞ。他は皆私立だし。田舎なんだから。」
「しょうがないでしょ?!好きで辞めるわけじゃないもん!周りの人が…「お前はどうしたいんだよ!」何いきなり怒鳴って…」
「お前が一番どうしたいんだよ!辞めたいのか?!辞めたくないのか?!いつもいつも周りにあわせてよ!自分の意見は持ってないのかよ!」
中学も自分の意見を言わないで、溜め込んできてたくせに。
それで溜め込みすぎたら倒れるとかおかしいだろうが…
「周りの奴等が何て言おうとも、俺やカイ達がいるだろ?!まだ信用できないのかよ!何でもかんでも溜め込んでんじゃねぇ!少しは頼れよ!」
「っ…」
「どっちだ!」
「………」
俯いて何も言わない瑠璃。瑠璃のおじさんは、何も言わないで見ているだけだった。
でも、口を開いていった。
「瑠璃よ、お前は何がしたいんだ?」
「叔父様?」
「人に合わせて辞めるか、自分の意思で辞めるのか…わしはまだお前は学校に行きたいように感じるぞ。お前今言ったよな?後悔しない人生を送ると。今の選択は後悔しないのか?」
おじさんが言った言葉に、瑠璃は目を大きく開いた。
俺が来るまでの間。何を話してたかは知らない。でもこの言葉で瑠璃が分かってくれればいいけど…
「小僧、お前は瑠璃にどうしてほしいんだ?」
「俺は学校に戻ってきて一緒に卒業したいです。だから説得する為にここに来た。」
「本気みたいだぞ?そろそろ、自分に正直になれ。」
「叔父様…」
瑠璃のおじさんは、そう言って立ち上がった。瑠璃の頭に手を置いて撫でながら言った。
「瑠璃、お前の心は空っぽじゃろ?今は…だがの、もう自分を許せ。ここに来た小僧は、お前しか見てないみたいだしな。ゆっくり話し合え。」
そう言って、部屋から出て行った。
部屋の中にいるのは俺と瑠璃だけ…ちょっと気まずい。