今日は何だか、騒がしい教室内。
「ねぇ聞いた?」
「なになに?」
「なんかね?隣の高校の正樹って人いるでしょ?その人が、この高校に今来てるんだって。」
「隣ってまさか、海山高校の?」
「そうそう、何でもその高校の不良の1人が何者かにやられたんだって。」
「何でうちに来てるの?」
「そのやられた人がいうには、この高校の制服だったみたい。」
「やだぁ、そんな人がここにいるの?」
「みたいだよ。」
ありゃ?今の話がなんだか身に覚えがあるような気がするのは気のせいかな?
うん、きっと気のせいだ。
机にうつ伏せになって、寝ようとした。
その時、教師が来てHRが始まった。
この野郎、寝ようとした時に来るんじゃねぇっての…
こみ上げてくる怒りを抑えた。
教師の隣に立っている一人の男。
海山高校の制服を着ていた。
「もう聞いた事があると思いますが、こないだうちの生徒が一人この高校の人に殴られたそうです。何か知りませんか?」
あー。完璧に私だ。
どうしましょう、てかどうするべき?
「男子じゃなく、女子だそうです。」
はい確定、犯人私でーす♪
何もする事はできないので、とにかく黙ってた。
「早めに見つけたいのですが、何か知りませんか?とゆうか、このクラスの人なんですが…」
その言葉に教室内は騒がしくなった。
正樹とか言う奴は、教壇から降りてまっすぐ私の前に立った。
「貴方ですよね?うちの生徒を殴ったのは。」
「そうだけど?」
「謝罪も無いんですか?」
「先に喧嘩を振ってきたのはそっちの生徒。ぶつかって謝罪したのに文句言ってきたんだけど?」
「骨を折った事実は?」
「何もしてないのに?バカなんじゃないの?それに殴ってなんかいない。後ろが壁なのに思いっきり人を殴ろうとしたのが悪いんじゃない?」
殺気もれてませんかー?何だかどす黒いものを感じるよー。
「そうですか。」
「弱い癖に何いきがってんだか…」
「喧嘩売ってます?買いますよ?」
「へぇ、勝てんの?」
「勝って見せますよ。」
「面白い事言うね。」
「やります?」
「やらない。」
驚いたような顔をして、私の顔を見た。
「何故です?」
「何故?バカなんじゃないの?まずあんたのその学ランの内ポケに入ってるメリケンサック・ズボンの中には一本のナイフかな・左にはスタンガンが入ってるよね?それに太ももの辺りに鉄パイプみたいな物仕込んでるでしょ?短いけど、結構強度のあるやつ…それに袖にはトンファーがある。それだけの道具を持っている腰抜けと戦うの?」
冷や汗なのか分からないけど、少し焦ってるのかもしれないね。
何だか顔色少し悪くなってる。
「それともう一つ…教室の前に数人いるんでしょ?おそらく、鉄パイプや金属バットとか持っている奴等が…」
「何故それを…」
「だてに、中学ん頃荒れていたわけじゃない。一つ忠告しといてあげるよ。」
椅子から立ち上がって、正樹とか言う奴の胸倉を掴んで言った。
「武器も手放してこない上に何人かの助っ人がいる中殴り込みとはいえないんだよ。腰抜けの癖に喧嘩なんぞ売りに来るなんて10年早いんだよガキ。喧嘩売るんだったら武器もたないで一人で来やがれ腰抜けが!」
クラスメイトは完璧にドン引きだった。
まぁ、どうでもいいことなんだけどね。
「正樹!緊急事態だ!」
いきなりドアが開いたと思えば、緊急事態とか何なんだよ今日は!!
「今すぐその人に謝らねぇと俺らがやべぇ!!」
「何なんだよいったい…」
「それがっ…」
焦っていた奴が、いきなりドアの前から消えた。
てか、どっかに吹っ飛んだって言う方が正解かも。
「ちょいと、お邪魔させてもらうぜ…」
頭をぶつけない様に入ってきた大きな男。
和服を着て、後ろには黒服を着ている二人の男。
大きな男は、頭はハゲてるってかスキンヘッド?顔には少し傷がある。
どっかで見たことあんだよなぁ…?
誰だっけ?
「おう、嬢ちゃん。久しぶりだなぁ。大きくなって美人さんになったなぁ。あ?少し聡兄さんに似てきたなぁ。喧嘩腰の顔なんてそっくりだ。」
聡ってお父さんの名前…兄さんって事はもしかして…
「悟叔父様?!何でここにいらっしゃるのですか?!」
「おぉ、思い出してくれたか。何故ってきまっとるだろう。わしの可愛い唯一の姪っ子に会いに来てはいけないのかね?」
「せめて学校が終わってからにしてください!学校側に迷惑をかけないでくださいと何度も言いましたよね?!」
「そんなに怒るでない。ちょいと嬢ちゃんの噂を聞いたんでなぁ。」
「噂ですか?」
「あぁ、ちょいと暴れたと聞いたぞ?」
「それに関してはもう終わりましたよ?」
「あの…そろそろ手を離してくれませんか?」
「あぁ、忘れてました。」
ぱっと手を離して、正樹とか言う人を解放した。
そう言えばこの人を掴んだままだったよ。
すっぱりと忘れてた。
「なんじゃいなんじゃいせっかく久々に会った姪っ子にわしのカッコいいところを見せようと来たのに、自力で終らせてたのか…」
「いじけないでください叔父様!」
これでよく組長とかやってられるよねぇ…
「親方、目的忘れていませんよね?」
「おぉ、そうだそうだ。嬢ちゃん。ちょいとうちに来れるか?」
「叔父様の家に?構いませんがいつ行けばよろしいのですか?」
「今。」
「どこの骨を折らせていただけますの?」
「すまんすまん、放課後に来れるか?もちろん迎えはここに送る。」
「ッチ…つまんねぇの…」
「性格と言葉遣いだけはそっくりだなぁ兄貴に…;」
「何か言いまして?」
「何でもない、とりあえず迎えをよこすから終り次第連絡くれ。」
「分かりました。」
叔父様はそのまま、教室から出て屋敷に帰っていった。
教室内は静まり返ってるまま。
さてと、どんな風に説明すればよい事やら。
「るーちゃん、あの人ってもしかして…」
「…吉川組…の組長さんなの…」
「「組長?!」」
一斉に声をそろえて驚くクラスメイト。
そりゃそうだよね、組長の身内がここにいるなんて誰も思いもしないだろうしね。
とゆうか…
「いつまでそこでくたばってるの?さっさと自分の学校に戻りなよ邪魔くさい。」
「うぅ、苦しかった…」
よろよろと歩いて、帰っていった海山高校の生徒達。何しに来たんだか全く分からない。
「るーちゃん、何で組長の人と…それ以前に姪っ子って事は…」
「…私のお父さん、吉川組の跡取りだったの。でも、お母さんとの結婚が許されなくて屋敷を飛び出してきた。それで駆け落ち同然で結婚して私が生まれたの。私はお爺様たちと仲がいいけれど、お母さんとはいまだに険悪なの。でもね?叔父様だけは唯一賛成してくれてたみたいで、今までも何度か手を回して私達を守り続けてくれてたから…私も一応跡取りなんだけどね。」
「そうなの…なんで教えてくれなかったの?」
「…かなたちは分かってくれるって思ってたけど、それ以外の人たちって嫌うじゃん。ヤクザの家系なんだもん。何もしていなくても悪者扱い。なら隠してるに決まってる。」
「瑠璃のその強さって遺伝?」
「そうだね、小さい頃よく誘拐されそうになってて空手とか教えてもらってたらこうなった。」
席についてかなとカイト喋ってた。
予想どうりなんだ、かなとカイ以外は誰も近くに寄ってこない。この感じ、小学校の頃と同じなんだよね…