冷と完璧に別れてから数ヶ月が過ぎた。
冷と話す事もなければ、目すら合わないんだ。
こうなる事を望んでたのは自分だけどね、もの凄く苦しい。
もう冷の視界には私は映ってないんだよね。
完璧に冷を忘れるのにはまだ時間がかかるかもしれない。
早く忘れよう。そう決意した。

―HR―
「じゃぁ、連絡は以上だ。気をつけて帰れよ。」
長い先生の話も終わって、ようやく帰れる。
部活に向かう者、帰宅する者、お喋りして教室に残っている者…
私はその中の帰宅する者にはいる。
でも今日は違う、中間が近くなってきたから図書室で少し勉強するために移動していた。

―図書室―
…全く理解できない、とゆうか頭に入らない。
どうしようかな…帰るにしてもまだ早いし…
もう少し粘ってみるか。

とは思ったけど…
無理だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
何この問題!公式なんて覚えてるわけ無いじゃん!何をかけてこうなるの?!
誰かぁぁぁぁぁぁ!私に理系の脳ミソをください!
「帰ろう。」
これ以上ここにいても意味ないし、私は荷物を持って一度教室へ向かった。
傘置いてきちゃったしねついでにこの意味の分からない教科書共を置きに行こう。

―教室―
「よいしょっと…」
机に教科書を置いて、傘たてから傘を取ろうとした時に気付いた。
机にうつ伏せになって眠っている冷に…
教室寒いのにね、何やってんだか…
1月だってのに何寝てるんだか…
コートも着ないで…
「…起きないよね…」
冷に自分のコートをかけておいた。
私の使っているコートは男の人も使えるものだから、別に着ていても違和感は無いしね。
そのまま私は、傘を持って家に向かった。


「寒っ…」
コート無いだけでこんなに寒いなんてね。普段どんだけコートが暖かかったのか分かるよ。
早くコタツに入りたい。
取り合えず傘を持っていない手はブレザーのポケットに突っ込んだ。
傘を持つ手は冷え切っていて、手袋持って来ればよかったって少し後悔した。

そう言えば、一人で雪の中帰るのは久しぶりかも知れない…
中学とかでも、そんなに一人で帰ることは無かったもんね。
いつも冷がいたんだっけ、ついてくんなって言っても聞かなかったんだよね。
懐かしいなぁ…
本気で勉強して以来だから…受験期間前まで一人だったでしょ?
てことはもう1年ぶりくらい?
もうそんなに過ぎてたんだ。
少し寂しくも感じるけど、なれなくちゃね。
もうこれから先は一人なんだから。

心に何だか穴が開いた感じがする。
何にも感じないし、なんか寒かった。

ドン…
人とぶつかって、軽く謝ってそれですんだと思ってまた歩き出した。
「舐めてんのかてめぇ!」
気に食わなかったのか、腕を思いっきりつかまれて怒鳴られた。
「謝りましたよね?まだ何かあるんですか?」
「医療費出せゴラァ!」
「怪我なんてしてませんよね?離してください。」
「女だからって容赦しねぇぞ!」
反対の手で殴りかかる男。
それを見た瞬間、私の中にある何かが壊れた。
「ウゼェ…」
ゴキッと鈍い音が聞こえた。
さっきまで掴んでた男の腕はもう無く、男は振り上げていた手を押さえていた。
「てめぇ、何しやがった!」
「ウザイんだよお前、弱いくせに意気がってんじゃねぇよクズが…」
思ったよりも弱くて話しにならねぇ…
男を思いっきり蹴っ飛ばしてから、家に向かった。

何だか少し満たされるような感覚があった。
喧嘩を久々にやったからなのか、少しすっきりした。