確かに瑠璃の言うように話の内容とかは噛み合ってなかった。
瑠璃に言っても俺は自分の話しを進めたかったから…
「俺は逃げないって言ったよな?」
「だから何なの?」
「意味わかんねぇか?」
「全くね、いいから帰れ。」
さっきから瑠璃の言う言葉は帰れのみだ。
ずっとそれを連呼してるようにも感じる。
ここで折れるなよ俺…
「帰れ・帰れ・二度とくんな。話もしたくないんだけど。」
…流石にこれはきついぜ…泣きたくなってきた(;A;)
なんて思っても、絶対めげたくねぇしなぁ…
「俺さ、大悟から聞いたんだ。俺のせいで瑠璃がいじめ受けてるってな。」
「っ!?」
何で俺が知ってるんだ…って顔して俺を見た。
「それを聞いたのは、瑠璃と別れてからだけどな。それまでは俺知らなかったから。」
「だから何なの?もう関係ないじゃん。」
「まぁ確かにそうだけど…聞けって。俺さ、本当にお前をちゃんと見てなかったって自覚したんだよ。本当に好きなら何で気づけなかったんだって、今になって思った。瑠璃が言ったように今更なんだよ…」
今更気付いても遅いってこの事だよな。
事実に気付いた頃にはもう何もかも手遅れでさ、元に戻らないところまで来て気付く…
俺ってばかだよなぁ、ここまで来ないと分からなかったとか。
笑い話だな。
「本当にそうだね…今更だ…何なのいきなりさぁ…今更言って何があるって言うの?何が目的なの?!」
いきなり怒鳴る瑠璃に少し驚いた、怒ることはあってもここまで大声出されたのは初めてだった。
「目的か、目的と言えば…」
立ち上がって、俺は瑠璃に近づいた。
瑠璃はたじろいでいたけど、それは無駄だ。
瑠璃のいるところは、寝具の前。
つまり、ベッドに乗っかっても壁がすぐそこにあって逃げ道は無い。
「何…来るなぁ…」
「俺等んとこに戻って来いよ瑠璃。」
「っ…ヤダ…」
「何で…」
「また戻るじゃん…前みたいにまたいじめ受けろって?そんなのヤダ…やっと何も起きなくなったのに、元通りじゃん。そんなのヤダ…」
涙を少しづつ流す瑠璃。
俺は一体何度この顔を見た?
一体どれだけ俺のせいで涙を流させた?
俺の知らないときに何度泣いた?
瑠璃の流す涙は、何一つ変わってない。
「今度は俺が守るから、絶対に俺がお前を守る。」
「嘘だ、また皆して裏切るんだ。表面上の友情なんていらない…」
「そんな事は無いから。本当だから…」
「嘘だ…嘘に決まってる。そんなの信じないって決めたんだから…」
「瑠璃…」
二度と戻れないのか?
あの頃のように戻れないのか?
一緒に笑い会ってた頃にはもう戻れないのか?
涙を流しながら信じないって呟く瑠璃を抱きしめたかった。
今そんなことしても、きっと拒絶されるだけ。それが怖かった。
でも俺は逃げないって決めた、拒絶されても俺は…
「瑠璃、俺はお前が好きなんだ。だから守る。」
瑠璃を強く抱きしめて俺は言った。
瑠璃に拒絶されてももういい、俺のせいでこうなったんだったら俺は責任はとる。
「嘘だぁ…」
「本当だ、かなじゃ埋まんなかったんだ。瑠璃といた時の方が楽しいんだ。瑠璃じゃないと俺はダメなんだよ。」
「ならなんで…なんでかなと付き合ったの?!かなは大切な幼馴染なのにっ…かなを悲しませるようなことしないでよ…」
「俺は本当に最低だな、かなも悲しませるようなことして…それでいて瑠璃も悲しませて…」
「本当に最低、何様なの?」
「その通りだな、嫌ってるならそれでいい。でも俺が好きなのは瑠璃だけなんだ。」
瑠璃を離して俺は瑠璃ときちんと向き合った。
泣いて少し腫れた目に、濡れた顔。
その顔見たときに、俺は改めて傷つけたんだと実感した。
「俺は、学校で待ってる。瑠璃が自分自身で来れたら、俺はまた瑠璃に自分の気持ち伝えるから…それまで俺等はちゃんと待ってる。」
「…行かないから…」
「それでも待ってる。じゃぁな。」
それだけ言って、俺は瑠璃の部屋から出た。

「ふ~…」
瑠璃の部屋から出て、ホッと一息ついたときに空に話しかけられた。
「終わったか?」
「おわっ!!お前いたのかよ。」
「待ってましたからねぇ…にしても…」
「あ?」
「あんな告白俺には真似できないねぇ。」
うわっ、聞かれてたよこのやろう。
殺意沸いてきたぞこんにゃろう!
「んじゃ、俺は帰るから。お前は?」
「俺も帰るって、あの状態じゃ教えてもらうのには辛いしね。」
「じゃな~…」
「おう、じゃな。」
階段下りていく途中、立ち止まった。
「?どうした?」
「あぁ~っと、ありがとな。」
「いいってことよwじゃな。」
「ん~…」
俺が靴はいてたとき、瑠璃の母親が来た。
「瑠璃、学校でいじめ受けてるのよね?」
「何でそれを…」
「瑠璃の様子、いつも可笑しかったから…」
「俺等が学校の奴らを調べて犯人見つけます。」
「危険なことだけはしないでね?」
「はい。」
「気をつけて帰ってね。」
「はい、さようなら。」

瑠璃の母親に頭を下げて、俺は家に向かった。
帰りながら俺は考えていた。
明日から瑠璃のいじめている主犯を見つけ出していかないといけないからな。

安心して瑠璃が学校に来られる様にする。
今の俺にはこれしかできないからな…