「別に友達でもなんでもない…」
正直言って、空がここに来るなんて思ってもいなかった。
それ以上に、冷たちもここに来るなんて思っていなかった。
もう関わんないと思っていたから。
でも、何で来たのか理由がはっきりしてから余計に関わりたくないと思った。
”また前みたいな関係に戻ろうよ。”かなたちが来る前にいわれた言葉。
つまり、カイ達が転入する前の関係に戻ろうって言われたようなもの…
その頃は些細ないじめだった。
廊下を歩いてるときとかに、わざとぶつかってくるとかのね。
でもだんだんとエスカレートしてきて、遂に物が無くなった。お気に入りだったシャーペンにハンカチ…流石に冷から貰った物は殺意が沸いたけど、今となったらどうでもいいように思えてきた。
まぁ、そんなことがあったんだよね。
教えてもいないけど…かなだって心配してるような素振りを見せて実際は笑ってたと思う。
そんな頃の関係なんかに戻りたくない。
「ふーん…じゃ、瑠璃は今誰とも付き合ってはいないんだ…」
「そうだけど…それが何?」
「いや?別に何でもないけど?」
ニヤニヤしてて気味悪い…
「瑠璃?その男の子は?」
「…学校サボったとき会った人、算数自体できない馬鹿。」
「何その紹介!!」
「本当の事じゃん、掛け算を間違えるくらいなんだもん。」
「あぅっ!」
あ、いじけた…まぁいいか。どうでもいいしね。
「とりあえず教えてくれ。」
「じゃ、上に行こう。教えるから…」
「お邪魔します。」
「どうぞ~。」
空と階段を上って、自分の部屋に向かう。
かなたちはまだいた…
「まだいたの?さっさと帰りなよ。」
「そいつ誰…?」
「柏原工業の空。あんた等は?」
「瑠璃のクラスメイトで…俺は瑠璃の元彼…」
「じゃ、お前が原因なんだ…」
「何がだよ…」
「こいつ、海に入っていったんだよ。制服でな、自殺しようとしてたんじゃねぇの?」
「…余計なこと言わなくていいよ、元彼って言ってももう関係ないし。その時とかの記憶消去したもん。」
「消去って;;」
「本当のことだよ、そんな記憶余計だからね。」
記憶なんて覚えていたくなかった。
幸せなんて…感じたくない。
覚えたくも無い。私の幸せなんてお母さんだけでもいい。それで十分だもん。
「お母さんにはその事言わないでね。怒られちゃうもん。」
「はいはいっと…さぁ!俺に教えるがよい!!」
「一回は、逝ってきたらいいんじゃない?」
「漢字が違うんじゃないかなぁ?!」
「そう?ピッタリだと思うよ。」
「なんでこんなにも俺の扱いが酷いのかなぁ?!」
「うざいから。」
「酷い!!俺泣くよ?!」
「泣き叫んで足掻いてろ」
「こわッ!!」
「別にいいじゃない、だってあんたバカなんだもの。」
「前に比べて毒舌度が増してるよ?!」
「気のせいよ。」
なんでかな?人とはもうかかわらないって決めたのに、この人とは話してても楽しい。
なんというかいじりがいがあるっていうのかな?
何言っても怒ったりしない。
そんな人と関わってるほうが楽しい。
気楽だしね。

「とにかく勉強するんでしょ?中に入って。それと…」
かなたちのほうに向いて私はっきりといった。
「もういい加減に関わらないでくれる?しつこいんだけど…私がいなかったときに何が起きたかなんて知らないけどさ、一回は裏切ったんだよね?今更謝られて許す気なんてさらさら無い。もう二度とこないで。近寄らないで。」
「瑠璃…」
「名前、呼ぶなって言わなかった?二度と口にしないで。」
「だそうですよ?さっさと帰れば?」
空は中に入ってと思ったのに、まだいたんだ。
ぜんぜん気づかなかったよ。もしかして影薄いのかな?
まぁ、そんなことなんてどうでもいいけどね。

「…分かった、帰るよ。」
「サヨナラ~w」
笑ってんなよばか空。
かなたちは何か言いたそうにしてたけど、渋々帰って行った。
明日から暇なんだよね。そんなにいい成績残してても、出席日数で欠点とか食らうし…
そこが一番の難点だねぇ;;

さてと…
「んじゃ、始めよっか。」
「おう!と言いてぇけどちょっと待っててくれるか?」
「なに?」
「炭酸買ってくるわ!」
「ちょ!空?!」
何も聞かないで空は外に出て行った。
飲み物ならあるのに…
まぁいっか。
空が戻ってくるまでの間、私は課題を終わらせていた。