冷が教室から走り去ってから、私達も健たちと一緒に向かった。
歩きながら、今まで瑠璃と撮ったプリクラを見ていた。
私も瑠璃も楽しそうに笑って写ってるのばかりだった。
何であんなこと言っちゃったんだろう…
早く瑠璃に謝んなきゃ…

「着いたね、冷はもういるだろうな。」
「そうだね、とにかくいこっか。」
インターホンを鳴らしたら、瑠璃のお母さんが出てきた。
「あらあら、今日はたくさんのお客さんがくるわねぇ。いらっしゃい♪」
「「「こんにちわ。」」」
相変わらず若いなぁ、瑠璃のお母さん。
確かもうすぐ40だったような気がしたんだけど;;
「冷君も久しぶりに来てくれたのよ…でも…;;」
「何かあったんですか?」
「冷君、追い出されちゃって;」
「え…?」
「とにかくあがって頂戴?寒いでしょうからね。」
瑠璃のお母さんに家に入れてもらって、私達は中に入った。
「瑠璃のところに行ってもいいですか?」
「えぇ、どうぞ。」
瑠璃のお母さんはリビングへ行った。私達は階段を上がって瑠璃の部屋の前に行った。
扉の前には冷が座っていた。
「冷、大丈夫か?」
「あぁ、皆来たんだ。」
「るーちゃん、開けて?」
「…なんで?開ける意味なんて何ひとつ無いじゃん。帰って。」
「瑠璃…」
「気安く名前呼ばないでよ。」
「るーちゃん…どうして?」
「どうしてなんて自分で分かってるんじゃないの?どうせ笑ってたんでしょ?表面だけの友情に笑っていた私をさ…」
「そんなこと無い!私はちゃんと…「しつこいよ!!もう関わらないで!帰ってよ!」瑠璃…」
本当にもうだめなのかな?
もう私は瑠璃の親友でいられないのかな?もう…戻れないのかな?
「でてって!」
扉の向こうから何か硬いものを投げたのか、大きな音が扉から聞こえた。
「瑠璃、俺が悪かった。だから怒りは俺だけに当ててくれよ。」
「カイ…」
「それで何が出来るっての?それ以前にあんた誰?」
「カイだよ!瑠璃と冷を別れさせた張本人の!」
「そんな奴知らない。」
瑠璃…カイ自身を嫌って存在を自分の中から消したんだ。
「瑠璃…話しを聞かなかったことは謝る。だから…「いい加減にしてよ。」瑠璃…」
「いまさら謝って何になるって言うの?時間が戻るわけ無いじゃん。」
「でも、一緒にいられなかった分の時間は今からでも…」
「さっき言ったこともう忘れたの?関わらないでって言ったじゃん。そんな言葉も忘れたの?それとも、そんな簡単な言葉すら覚えていられないくらい記憶力無いの?もう一度言う、帰って。」
「瑠璃…俺がそこまで追い込んだのか?」
「何が言いたいの?」
「俺がそこまで瑠璃を追い込んだんだろ?その責任はちゃんと取る。だから…かなたちとは前みたいに接してくれよ。」
「前みたいにって何?どの時の?どんな時の?どんな状態のときの接し方?」
静かに扉が開いた、瑠璃が姿を現した。
久しぶりにちゃんと瑠璃を見たのかもしれない。
朝も見たけど、その時私は瑠璃の表情は愚か瑠璃自身を見てなかった。
瑠璃の表情は無かった。瞳は黒くて何も映してない。光すら映ってなかった。曇っていて、笑いあってた頃の瑠璃はそこにいなかった。
「あんた達は何が言いたいの?また前みたいにいじめられ続けてろって言うの?そんなのごめんだから。」
「瑠璃…」
その時、瑠璃の携帯が鳴った。
瑠璃は携帯を取り出して、電話に出た。
「何?なんかあったの?……うん、あぁテストあったんだ。で?何でそんなこと伝えるの?……はぁ?!初めてって…あんたの頭はどうなってんの?!初めて50点って…ちょっと待って!あんだけやって半分って何?!いい加減真面目に授業受けてよ!!」
誰と電話してるのかわかんないけど、何だか楽しそうに話してる瑠璃。
さっきまで向けられてた視線とは違う、優しい瞳をしてる。
「あぁ、暇な時に教えればいいの?なら”空”がこっちに来ればいいじゃん。」
空?誰だろう?
そんな人の話しなんか聞いたこと無い…
「今から来るって、場所知ってるの?着いたってはぁ?何言ってr…」
瑠璃の声を遮って、インターホンがなった。
「はーい、どちら様?」
「瑠璃はいますか?」
「二階いるけど…貴方は?」
「瑠璃の命の恩人?みたいなもんです。」
男の声が聞こえて、瑠璃は下に走っていった。
私達は階段からみている、背の高いかっこいい男子が立っていた。
瑠璃の知り合いなのかな?
「何でここが分かったの?!家教えてないよね?!」
「工業生なめんなよ?GPS機能辿って来た★これくらい出来るっての♪」
「お母さん、人権損害として訴えるから警察に電話しよう。」
「まてまてまて、それだけはやめてください!お詫びに何か壊れてて困ってるものは直します!」
「じゃ、ヘッドフォン直せる?」
「お任せあれ!」
「じゃ、終わったら教えるよ。」
「助かるぜ。サンキュー…ん?」
あ、見つかっちゃった;
彼と目が合って、彼は瑠璃に聞いた。
「あの上にいるのって瑠璃の学校の友達か?」
「別に友達でもなんでもない…」
その言葉を聞いて、私は苦しくなった…