いつも通り制服に着替えて、家を出て学校に向かって歩いていく。
音楽プレイヤーで好きな曲を聞いて一時間目の授業に向けてテンションを上げていると、通学路の先に見慣れた後姿を見かけた。
イヤホンを取ってポケットにしまい走り出す。
「れ~い~!!おっはよ~~!!」
大好きな彼氏の背を見かけて、一気に走り出す。
ちょっと立ち止まってゆっくり振り向いてくれる冷。
正面からぎゅっと冷に抱きついて挨拶をする私。
これが私の毎朝の恒例?というか日課。コレをやってようやく一日が始まる。
「はよ、瑠璃・・・苦しいから離れて。」
「え~・・・つまんないよぅ・・・」
そう言いながらも嫌われたくないので、渋々身体を離して隣を歩く・・・
「ん・・・」
無表情だけど、手を差し伸べてくれる。
そんな優しさに、私はまた惚れ直したりする。
「へへっ、冷?」
「ん・・・?何?」
「大好き!///」
「知ってる。早く行くよ。」
「うん!!」
少し赤くなる冷の耳。
それを見ると少し安心する・・・
ちゃんと私のことを好きでいてくれてるって確認できるから。
というよりも言動よりも素直なんだよね、冷の耳は一番わかりやすい。
何かあれば耳を見るとわかる。というよりも照れたかどうかは耳を見れば一発でわかる。可愛いしこれぞギャップ萌えってやつだよね?
自己紹介まだだったね。
私は杉原瑠璃、高校二年生です!!
好きな人はもちろん冷のみ!!
中学が一緒で、なんとなく冷を見ていたら自然と冷に惚れていたの。
まぁ、見ていたというよりも関わったというかなんというか…
まぁ、私があんなんだったのによく付き合おうって思ってくれたよね。
まぁその辺の過去はいつかわかるだろうから、まだ話さない。
高校は別だって思ってたのに一緒ですごく嬉しかったのを覚えてるよ。
一年の時に、思い切って告白したらあっさりOKもらったの。
最初は『女避け』の為だと思ってたけど違うみたいでよかった。
みんなクールって言うけどちょっと違うんだ。
お昼のときは必ず二人だし、眠くなった時も冷は後ろから抱きしめてくれたりするんだ///
ちょっと恥ずかしい時もあるけどね///
そんな彼氏さんにべた惚れです!!
「瑠璃?どうかしたのか?」
「何でも?冷が大好きなんだってほんとに実感してた所。」
「はいはい・・・」
そんなに会話は無いけど、この時間が好き。
それなのに・・・
「冷様ぁ~!!おはよぅございますぅ~!!」
この人達に邪魔されていく・・・
いい加減にしてよ~;;
「ちょっと邪魔!!」
「どいて頂戴!!」
どんっと押されて、冷とはぐれた・・・
「最悪~・・・」
冷が人ごみに流されて見えなくなった。
一人は虚しいから校舎に入っていく・・・
教室-
「なぁ~みぃ~~!!!!聞いてよぉぉぉぉ!!!」
「はよ~、またやられちゃったの?」
「そうなのぉ~慰めてぇ~~!!」
教室に入るなりなみに抱きつく。
これも日課、その後は決まってケンカ勃発。
「おい瑠璃!!俺のなみに抱きつくんじゃねぇ!!それしていいのは俺だ!!」
「うっさい健!いいの!なみは私の!!」
「俺のだっての!!」
「「「健ウルセェ!!黙れリア充!!」」」
「怒られてやんの!健だっさぁ~・・・」
「「「瑠璃もうるさいんだよ!!!」」」
「なんと私も!!まじですかぁ!?」
という感じに、大袈裟な反応♪
皆朝から元気だね、お姉ちゃん嬉しいよww
いやお姉ちゃんじゃないか。私誕生日遅いもん。
お姉ちゃんになれるわけがないか。畜生!!
「ところで瑠璃、昨日の夜に言ってた課題は結局終わったの?」
「…何のことかさっぱりわからないなぁ~。」
「終わってないってことか。大丈夫なのかそれで。今日出さないと居残りだろ?」
「そんなっ…嘘だと言ってジョージ!」
「すまないっ…こればっかりは本当なんだ…ステラっ…!」
「いや誰だしステラって。」
「お前こそ誰だよジョージって。で?何が分らなかったんだ?」
「何がわからないんだろうね。そもそも何かわからないのかもわからない。」
「待って。ゲシュタルト崩壊するから。瑠璃は私のノート見つつ解いてみて。」
「俺はそれ見て何を理解していないのか考えるから。ほら早くしろ、時間無くなるぞ。」
「あざまっす!!」
なんだかんだと言ってこの二人は優しい。
というよりも甘やかしてくれるんだよね。まぁいいか。仲のいい友達っていい事だよね。いいこと以上に何かあるかどうかは知らないけど。
そしてしばらく席を借りて課題をやるけど全く進まない。
二人の眉間のしわもだんだんと険しくなっていく。
「あ~…わっかんない。」
「どうするか…俺の説明の何が悪い?」
「健は悪くないわ。私にも理解できない。瑠璃乗り合い能力が乏しいとしか言えないわね…」
「見捨てないで二人とも…うぁ~…よく合格できた自分。えらい!」
「今それ言える事じゃないわね。」
「だな、居残りした方が身のためかもしれないなバカだし。」
「バカっていう方がバカなんだからね!健のバカ!」
「ほら無限ループ。」
「何ですと?!」