side恋幸

「前島恋幸(まえしまこゆき) 17歳 女です。
よろしくお願いします。」

行儀よく頭を下げては、フと顔を上げてみやびちゃんの家族を見る。

お父さん、お母さん、お姉さん、みやびちゃん

私がこれから、お世話になる、家族。

「ゆきちゃん。こっちがお父さんで、こっちがお母さん。
ゆきちゃんも、お父さん、お母さんって呼んでね。
それで、ゆきちゃんが会いたがってたお姉ちゃんがこの人、まこねぇだよ!」

みやびちゃんが、家族を紹介してくれる。

厳しそうなお父さんに

優しそうなお母さん

それは、誰から見ても、良い家族。

でも、私の視線が囚われていたのは、

お父さんでも、お母さんでも、みやびちゃんでもない。

みやびちゃんのお姉さん。

咲山慎さんだった。

キメの細かい、透き通るような肌

肩あたりで切りそろえられた、サラサラの髪

その全てに、私は惹かれたんだ。