「…やっぱり…気持ち悪い…ですかね…?女が女を好きになるなんて…っ!

分かってたんです!

でも…私…私…諦めようとすれば、するほど…胸が、苦しくなって…っ!」

ポロポロと大粒の涙をながすこゆき

「諦め、きれなくて…」

原は泣きながら言うこゆきを見ながら、またタバコの煙を吐き出した。

「ほら、これ、使え。」

すっとこゆきの目の前に差しだされた紺色のハンカチ

こゆきは少し驚きながらも、ありがとうございます。とそのハンカチをうけとった。

「いーんじゃねぇの?」

少しの間の沈黙を破ったのは、原のその一言だった。

「…え?」

こゆきの大きな瞳からこぼれ落ちた涙はハンカチを濃い紺色へと色をかえていた。

「別に、いーんじゃねぇの?俺達教師は、生徒同士の恋愛にとやかく言う気はねぇし。

それに、恋って、落ちちまったらどーにもなんねぇだろ。

相手が女だろうが、男だろうが、惚れたンならとことんまで惚れりゃいーだろ。」

灰皿にタバコの吸い殻を押し付ける原

「頑張れよ。あと、お前全然綺麗だから自分を気持ち悪いとか言うな。それ、返さなくていいから、トイレ寄って顔洗って教室もどれ。俺は咲山呼んでくるから。」

ぽんぽんっと頭を撫でて指導室をでる原

「あ、ありがとうございます。」

遠くなる原の背中にまた、お礼を言った。


(というかあの先生

(いい奴)
今まで無関心に見えたのにイケメンじゃない…)