「うちな父子家庭なんですよ。おとなしい父と生意気な妹がいます。三人家族です。母親はいません。男と出ていってしまいました。大嫌いです。そんなこともあって、私、いじめられっ子なんです。親戚の人に〈お前の母親は男に、だらしない。淫乱だ。その血をひく、お前も大人になったら淫乱になる〉と言われました。近所の人にも不倫と言われました。父も私たちも悪くないのに。学校でも〈離婚女〉なんて、あだ名をつけられて、いじめられました。東京に、入れなくなった私たち家族は埼玉に引っ越して来ました。でも、その土地の人も優しくは、ありませんでした。高校になって、私が学校を何日か休んだ時、担任の教師が私の母親の事や、それが理由で、いじめにあい埼玉に引っ越してきたことなどをクラスの人たちに話してしまいました。私、絶望しました。寂しいのは…怖いです。祐希くんに初めて会った時、私、自殺しようとしてたんですよ。驚きました?私、優しい人が好きです。祐希くんが……う、うぇぇぇぇぇん」
愛菜は祐希の前で泣いた。


