あの日から俺は、さゆみの家で日々を過ごしている。さゆみが「いつまでも学校で寝てたらダメっ!」とか言ってきて。
別にそこら辺の床で寝てるわけではないし、ちゃんと保健室のベッドで寝てたし・・・、たまに。
まぁ一応、さゆみや新のお陰もあって契約をし直したし、学校に住み着く理由も無くなったわけだから、別に問題はないんだが・・・・・いや、問題大有りだな。いろいろと理由はあるが、一番の理由は―――、
「そういえば龍牙。」
「…なんだ?」
「…いつになったら私の部屋に来てくれるの??」
「…………」
そう、これが一番の理由。
「ねーってばぁ。」
「今いるじゃねーか…」
「今じゃなくて、夜っ!よーるっ!!」
「……はぁ。」
まさか、さゆみがここまで強引だとは思わなかった・・・。
「ねー、何でそんなに逃げるの?そんなに私と寝るの嫌??」
うっ・・・そんな上目遣いで見るんじゃねー(泣)!
「いや…俺的には嫌というより、むしろ大歓迎なんだが…「じゃあいいじゃん!一緒に寝よーよ!」
「…………」
「何?」
「…あのな、さゆみ。」
「うん。」
「たぶん…いや確実にだと思うんだけど。」
「うん。」
「さゆみの思ってる寝ることと、俺の思ってる寝ることは意味が違うんだと思うんだよね。」
「??」
「さゆみはさ…俺と寝るっていうことは、どういう意味か分かって言ってる?」
「うん、分かってるよ。」
「じゃあ、言ってみて?」
「えっ…普通に龍牙が私と同じベッドで寝て、次の日の朝が来るまで寝ることでしょ?」
「さゆみが思う、寝ることって何だと思う?」
「休養。睡眠。就寝すること。」
やっぱりっ!!
「龍牙、さっきからどうしたの?私何か変なこと言った??」
「………はぁ。なぁさゆみ。」
「何?」
「さゆみは俺と寝たいだよな?」
「うん!」
「…………………………………………………ぜってー、理性がもたねー。」
「???変な龍牙。」

――――――。

やべぇ、やべぇ、これは・・・マジでヤバイっ!!
「どうしたの龍牙??」
「…いや、予想してたのよりダメージが大きいと思って。」
「????」
「いや、気にしなくていいよ………うん。」
そういえば今まで、さゆみのお願いを逃れるのに必死で考えたこともなかったけど、さゆみの寝巻きってめちゃくちゃ、
「龍牙?」
「……かわいい。」
「「…………」」
「え…え…えぇぇぇぇーー!!!???ど、どうしたの龍牙っ!?本日2回目の私にはとてつもなく似合わない言葉を発してるよっ!?」
・・・・・はっ?
こいつなに言ってんの?
「お前さー…」
「な、何…?」
「いつも思ってたんだけど、それ…本気で言ってんの?」
「うん。」
ま・・まぢかーーー!!!、これは、
「へ、へぇー(汗)」
無自覚って奴だな・・・。
「…龍牙、もう遅いし、寝よ??」
「えっ!?……お、おう。」
・・・・・・・・・・。ね、寝れねーーー!!
「龍牙。」
「っ!!な、なんだ!?」
「ありがとう。」
「?、急にどうした?」
「…私ね、ずっとこうやって龍牙と一緒にいることが夢だったんだ。」
えっ・・・。
「あの日、初めて龍牙と会ったときにね、思ったんだ。ああ、この人とずっと一緒にいたいって。」
「…っ!!」
「だからね…私、今すっごくし「ストップ」」
俺はさゆみがこれ以上話せないように手で続く言葉を阻止した。
「りゅふふひー(りゅうきー)?」
「もういいよ。」
「…?」
伝わった。
「もう、充分伝わった。」
「??」
あぁ。俺は本当にこいつのこと・・・、
「さゆみ。」
「ふぁにー(なにー)?」
「…好きだ。」
「っ!!」
「好きだよ、 大好きだ。俺は、お前をずっと愛してるからな。」
スッ。俺はさゆみの口から手を退けた。
さゆみの顔は真っ赤になってた。まぁ、手を退けなくてもすでに耳まで真っ赤になってたけど。
「あ、う…あ、え、えっと…」
「ん?」
「え、えっとあの…」
かわいい。
「なに?」
「あ…。」
俺はさゆみの上に覆い被さり、顔を近づけた。さゆみと俺の感覚は僅か数センチで、どちらかが少しでも動くとキスしてしまう距離。
まぁ俺はこのままキスしてもいいんだけど。
「………」
「………」
「……あ、えっと…」
「ん?なに?」
「わ、私も…」
「うん。」
「私も、龍牙が好き…」
「…うん。」
「大好き。私、ずっと龍牙と一緒にいたい…!」
「…うん。」
「ずっと龍牙の傍にいたい、ずっとこうやっていろんなこと話したり、一緒にご飯食べたり、遊んだり、寝たりして、今日も楽しかったねって言って2人でずっとずっと一緒にいたい…!!」
「…うん…っ」
ヤバい。
「だから、だからね…私も龍牙のことずっとずーっと愛してるよ!!」
「……っ…」
ヤバい、これは、
「龍牙に負けないくらい私、こんなにこんなにこーんなに龍牙のこと愛して…んっ!」
俺はまたさゆみの口を塞いだ。次は手じゃなくて口で・・・―――。

――――――――――。

「ん、あっん…ふぁ…んっ…」
どれぐらいしただろうか。軽く30分は越えたと思う。でも俺は止める気なんて更々ない。さっきのさゆみの言葉で俺の理性を吹っ飛ばすには充分なきっかけだった。それに、
「ふぁ…んっ、りゅ、りゅ…う、き…あ、う……」
こんなさゆみを目の前に止めるって方が無理な話だ。いつもより大人びていてエロイさゆみ。こんなさゆみを見てると、いつか俺の知らない所へ行ってしまうじゃないかと不安に思ってしまう。けどこうやって俺の名前を呼んでくれる・・・それだけで俺は安心する、幸せを感じる・・・―――。

「…はぁはぁっん…あ…」
「んっふ、んっ…はぁ…」
もう何時間経っただろう。さゆみも息するのがやっとといったところまで来ている。そろそろ止めないとさゆみが酸素不足で死んじまう。まだ足りないが俺はさゆみから口を離した。
「はぁはぁはぁはぁんっ、はぁはぁ……」
「はぁ、はぁ、はぁ……」
さゆみは今まで足りなかった酸素を補うように一気に酸素を身体の中に送り込んでいる。
「ごめん、さゆみ…やり過ぎた。」
「はぁ、はぁ、はぁ……ううん、大丈夫だよ。」
「さゆみ…」
「それに…」
「?」
「…あの、その、す…」
「す?」
「す、すごく嬉しくて幸せだった、から…」
「っ!!」
「…っ…」
「…クスっ(笑)」
「っ!!な、なに?」
「いや、ただ…さゆみは俺に嬉しいことばかり言ってくれるなと思ってさ(笑)」
「…っ…う、嘘じゃないからね。本当のこと言ったんだからね。」
「うん、知ってる。分かってるよ。……だから余計に嬉しいんだよ……。」
チュッ。
俺はさゆみに触れるだけのキスをした。さゆみは少しビックリした顔をしたけどすぐに嬉しそうに笑った・・・―――。

・・・本当に俺はこれでいいんだろうか。こんなに俺を必要としてくれて、こんなにも、幸せでいいんだろうか。いつかまた、壊れてしまうのではないんだろうか。いつか俺から離れて、また1人になってしまうのではないのだろうか。それが、怖い。
『ずっとずっと一緒にいたい…!!』
俺もお前とずっと一緒にいたいよ。
もし許されるのなら、このまま、ずっとお前と・・・さゆみとこのまま・・・―――。