私が愛したのは最低な人間でした


「凜。俺、ほんとに会えて嬉しいよ」





琉希くんは優しげな瞳を私に向ける。





「凜がいなくなってからも、今は何してんのかなとか、もう会えないのかなとか、色々考えたりしてたんだよ?」



『そうなんだ…』



「でも、やっぱり五年は長いよ。俺の方がチビだったのに、今じゃ俺の方が全然高いし。それに……」





琉希くんの綺麗な指先が、私の頬に触れる。





「可愛くなった…。前よりもっと」





私の頬を撫でる指がくすぐったくて、心臓が跳ねてドキドキして、私は琉希くんを直視することができなかった。





か、可愛いとか…。


思ってもないくせに……。





琉希くんの指先が離れる。



それでも、その部分だけ熱く火照っていて。





何か私……変だ。


まだ触れていてほしかったなんて思っちゃってる…。





「凜は今…彼氏とかいんの?」



『へっ?』





突然の問いに驚いて、琉希くんの顔を見上げる。





な、何でそんなことを…。





「いや…何かモテそうだし」



『も、モテないよ!彼氏もいないし!』





ブンブンと激しく首を横に振って否定する。





「まじで!?」



『まじでまじで!』





私なんかにいるわけないじゃん。





「そっかぁ。よかった……」





……ん?





今、よかったって言った?


気のせい、だよね…?





「んじゃ、お互いフリーって感じかぁ。いやぁ、虚しい虚しい」





琉希くんは「あははっ」と声を上げて笑っている。