私が愛したのは最低な人間でした


正門を抜けて、駅までの道のりを歩く。



同じく下校する周りの生徒達は、琉希くんの姿を見つけると、目を丸くして彼を凝視していた。



女の子の集団は、琉希くんの方を見て、キャーキャーと耳に響く声音で叫び声を上げている。



それと同時に、琉希くんの隣を歩く私を睨みつけてくる者や、誰?って怪訝な視線を送ってくる人も多い。



琉希くんは全然気にしてないみたいだけど、一緒に歩いている私としてはその視線を痛く感じて、いたたまれない気持ちになった。





琉希くん、人気すぎ……。





「…ほんとさ、俺達凄いよね」



『…えっ?』





柔らかい笑みを浮かべる琉希くんのその表情に、何故か鼓動がトクンと鳴った。



イケメンの笑顔なんて反則だ。



今更になって、二人きりで帰るというこのシチュエーションを意識しだしてしまう。





中学の頃は彼氏がいて、一緒に帰ったりとかしてたけど、ここ最近はずっとフリー。



大体女の子といることが多いから、彼氏以外の男の子と帰るのは初めて。



ただのクラスメートなんだから意識する必要はない。



それなのに、周りには私達がどのように見えているのか、変に気にしている自分がいる。





「埼玉で別れたのに、東京で偶然の再会だよ?しかも同じ学校、同じクラスで…。これってかなり凄いことだと思わない?」





興奮気味に語る琉希くん。





再会、かぁ…。


私も琉希くんのことを覚えていたら、素直に喜べてたんだろうな……。