「…いいでしょ?久しぶりに会えたのに、さっきから凛と話すタイミングなくてさ」
『えっ、あぁ…』
確かに、琉希くんは休み時間の度に生徒達に絡まれていた。
「…て、凜は覚えてないんだっけ。久しぶりとか言われても、凜にとっては知らない人なんだよな」
琉希くんは苦笑いを浮かべる。
『うん…。ごめんね…』
「いや、全然大丈夫。また仲良くすればいいだけだし。…ってことで、どうですか?」
琉希くんが期待に満ちた瞳を向けてくる。
『いいよ』
私は了承する。
どうせ、一人で帰る予定だったしね。
一緒に帰れば、少しは琉希くんのことを思い出せるかもしれない。
琉希くんにとっては構わないことなのかもしれないけど。
「まじで!?ありがとっ!!」
嬉しそうに満面の笑みを見せる琉希くん。
私達は並んで校舎を出た。
