私が愛したのは最低な人間でした


「凜ー!またねーっ!!」



『あっ、うん!また明日ねー!』





去年同じクラスだった子とすれ違い、バイバイと手を振り合う。





…………………………。





………………………… …………………………。





──その時だった。





「凜っ!!」





階段を下る私の背後で、私の名前を呼ぶ声がした。



びっくりして振り返ると、そこには琉希くんの姿が。





あれ…。


教室の前に人が集まってたけど、放っといちゃったのかな。





『琉希くん、どうしたの?』





階段を駆け下りてくる琉希くんを見上げながら尋ねる。





「いや…一緒に帰りたいなって思って」





私の前に立つと、琉希くんは照れ笑いを浮かべながら自分の頭をポリポリと掻く。





『えっ…。一緒に…?』





な、何で!?





私は呆気に捉えた表情で琉希くんを凝視する。





「うん。…駄目?」





あ、その顔ずるい。





本人は無意識なのかもしれないけど、おねだりする子犬みたいに、潤んだ目をして訴えてくる姿が可愛すぎる。



そんな目で見られたら、断るに断れない。