私が愛したのは最低な人間でした


温かい…。



いい匂いがする…。





もう、離したくない。





この日が来るのをどれだけ待ちわびたことか。





ずっと会いたくても会えなくて、触れたくても触れられなくて。



俺はどんどん成長していくのに、凜はあの日から全く変わらない姿で記憶に留まり続けていて。



それが塗り替えられて、同い年の同じ高校二年生になった凜の姿を目にして、興奮と感動で涙が溢れそうになった。





『びっくりした…!藍澤凜って名前が聞こえてきて、まさかと思ったんだけど…!ほんとにまた会えるなんて…っ!!』





背は凜の方が高かったはずなのに、今では俺の方が遙かに高い。



五年の月日がこんなに長いもので、こんなに人を成長させているなんて、思いも寄らなかった。





『会えて嬉しい…っ!もう二度と会えないんじゃないかって、そう思ってたから…っ!!』





愛しい愛しい存在。





それが今、俺の腕の中にいることが嬉しくて嬉しくてしょうがなかった。