「煌は?」


「煌祐くん?もちろん仕事よ。」


結婚しても、未だ"煌祐くん"と呼ぶ紗柚奈ちゃん。


「そう……。」


「ねぇ、聞いてもいい?」


天井を見ていた顔を、紗柚奈ちゃんに向ける。


「あさひくんって、あの海の子?」


頷く。


「けど、ずっと会ってたのは澄だよ。あさひじゃない。」


住んでる場所すら知らない私の恩人。


「そっかぁ。

案外近くに居るかもしれないね。」


最後が聞き取れなくて、聞き返しても

「何でもなーい!」

と返されるだけだった。