暫くして息が苦しくなって、大我の胸を軽く叩く。

ゆっくり離れた私達だけど、銀糸が私達を繋ぐ。

恥ずかしくて俯くと抱きしめられて


「大丈夫か?本当どうした?」


「…何でもない。キスしたかっただけ。」


背中に手を回して言えば、納得してなかったけど
「そうか」って言って黙った。

やっぱり優しい。
私が嫌な事は絶対しないし
無理に聞いたりしない。
暫く沈黙で抱きしめ合ったけど


「あいつらが待ってる。帰ろう。」


さっきのリレーで競技は最後だったから
帰る事にした。

閉会式に出ずに。



ねぇ、もし閉会式に出ていたら、あんな事にならなかったかな?

皆、笑って居られたかな?
大我の側に居られたかな?
ごめんね…。
何度、何度謝ったって足りない。

ねぇ、皆
ごめんなさい…。

私は私を犠牲にしなければ、皆を守れない。
無力で、ごめんなさい…。