ピストルの音が鳴り響いてスタートした。



……大我の走る姿はかっこよくて
見惚れてしまった…。


「沙亜羅!見てたか?」


他人には見せない満面の笑みで近づいてくる。

そんな笑顔を独占したいと身勝手に思う私は、最低だと思う。

こんな黒い塊を消してほしくて
大我に抱きついた。


「おっ、と。どうした?…何かされたか?」


周りを軽く睨む大我。
首を横に振る。
心配してくれてる様で、顔を覗き込んで来る。

顔を上げないでいると、上げさせられた。

上げた顔を見て目を見開いて、"ぎゅっ"と強く抱きしめられた。