恐る恐る名前を呼ぶと


「ちっ。沙亜羅、こっち来い。」


低く声で言われたら、従うより他ない…。


「そんな独占欲だすな。取ったりなんかしねーよ。」


近付こうと立ち上がった時に、架瑞が口を開いて、大我にそう言ってくれた。


「ちっ。分かってる。けど…な。」


けどな。の意味が分からない。
何が、けどななの?

架瑞は、分かってる様で頷いて


「こいつ、無自覚だから仕方ねーか。」


無自覚って!
失礼なっ!


「無自覚じゃないんだから!」