「ねえ聞いて聞いて!
昨日ね、川崎さんが!
おやすみって言ってくれたの!」
まだ、数人しか登校していない教室に、わたしの声が響く。
「ねえ、こうちゃん聞いてる?」
後ろの席で、英語のワークの答えを写している
こうちゃん こと、森野幸助(モリノコウスケ)
「朝からテンション高いうるさい」
「だってだって!川崎さんが〜!」
「おやすみって言ってくれた?」
「そうなの!えへへ〜」
ちゃんと聞いてくれてるんじゃん!
「おい。さっきから痛えよ。
ニヤニヤ気持ち悪い顔しながら
叩いてくんなよ。馬鹿力」
無意識のうちにこうちゃんの肩をバシバシ叩いてしまっていたみたいだ。
「えへへ〜ごめんね」
「気持ち悪いよ、ほんとに」
なんかひどいこと言われてるけど
今日は何を言われたって、傷つかないよ、わたし。
その意味を込めて、こうちゃんに笑って見せた。