太陽の家

「そんな顔しないでよ。言っておくけど、俺、被害者だよ?いきなり理由も話さずに彼女がいなくなったら、どんだけ不安かって」

「キャバだって不安だったんだよっ」

イモ子の主張はフッと笑われた。

「……そんなの、自業自得だろ?美紀は自分の意思で飲酒運転して、自分の意思でデリヘルはじめたんだ。女はすぐ稼げるからいいよな」

浩孝は肩の荷が降りた、と言いたげに肩を回した。

「……キャバ、デリヘルやめるって」

「え?」

「お客さんに病気うつされて、今日退院してきたの」

「……そう。とりあえず、俺は美紀とはもう関わらないから」

そのまま浩孝はすたすたと歩いて行った。

イモ子はその後ろ姿を見届けた後、家に戻った。

タイヨウの家に戻ると、相変わらずキャバはトイレにこもっていて、タイヨウとニートはその場に立ち尽くしていた。

「イモ子…浩孝さんは?」

「……帰るって」

浩孝との会話の事は言わなかった。

「おはよー」

寝ぼけたユキが階段を降りてきた。

「……おはよ」

「どうした、みんな。トイレの前で」

「いや……ちょっと」