太陽の家

「キャバ!」

ニートが血相変えて、リビングにやってきた。

「な、なに」

ニートに驚きながらも、思わず口を聞いてしまうキャバだった。

「あ、あの浩孝が…」

「ひろ…?」

リビングのドアに目を向けると、浩孝が立っていた。

「美紀……」

浩孝がこちらに近づいてきた。

「こないで!」

キャバは浩孝を振り払って、リビングを出てゆき、外に逃げようとした。

しかし、玄関のドアの前にはタイヨウが立っていたので、1階の男子トイレの中に逃げ込み、鍵をかけた。

とにかくすぐに一人になれる空間を求めた。

「美紀!明けてくれ!」

外から浩孝の声がする。

「え?美紀ってキャバのこと?」

イモ子は動揺していたが、事情をある程度知っていたニートはあまり驚かずに尋ねた。

「どうやって、ここがわかったんですか?」

「……興信所、使って」

「?どういうこと?」

相変わらず、イモ子は状況がつかめない。

「いきなり、美紀が俺の前から姿を消して……周りの人に聞いても、みんな知らないって言われて、心配になって調べたら、大学、辞めてて……思い切って家にも訪ねたら……引っ越してて……だから、俺、何も知らないんです」