太陽の家

「……うん、俺はもう、ニートじゃない。俺の本名は……」

「そんなの聞いてないよ!」

イモ子は思い切り叫んだ。

「キャバのこと、あきらめるんだ?」

イモ子の後ろで、タイヨウが皮肉まじりに尋ねた。

「……うん、彼女と俺じゃ、無理だよ」
「…………!」

イモ子はニートの肩を引っぱった。

「何で?結婚したいとか言って……嘘だったの?テキトー言ったの?」

「…テキトーでも嘘でもない!!本気だった!でも、キャバは俺なしでもやっていけるけど…ガムは、俺がいなきゃ…………死ぬって…」

ニートはその場で泣き崩れた。

「本当にこのまま、一生ガムと一緒にいるつもり?」

タイヨウはイモ子の頭をなでながら聞いた。

「そうだよ。俺一人が我慢して……ガムが救われるなら………」

「こんな事しても、ガムは救われないよ。こんなに他人に依存して、それでいいと思う?」

「でも、死ぬって……」

「それは、ガムがこれから乗り越えないといけない試練なんだって」

タイヨウの言葉で、ニートは顔を上げた。