「イモ子、ユキの仕事知ってるの?」

「うん、まあ」

この口ぶりだと、タイヨウもユキの仕事を知っているようだった。

ユキは二人に背を向けて電話に出た。

「はい………ああ。どうした?うん、うん。そっか……え、今から?……えっと………いや、家だけど」

電話の声は聞こえなかったが、どうやらお客が今から会いたがっているようだった。

「そうだなー……うーん」

ユキも、少し迷っている様子だ。



『俺の事求めてくれる人がいるなら、俺は出来る限り助けたいと思うから』



イモ子は、ユキが以前言っていたことを思い出して、不安になった。

お客は何か事情があってユキを求めているようだが、クモだって、きっと今一番必要としているのはユキだ。

「ユキ…クモはね」

「イモ子」

ユキに何か伝えようとしたところをタイヨウに止められた。

「ユキが決めることだから」

「……………………」

ユキは、少し笑いながらイモ子の目を見て、声には出さず、口を動かした。

"わかってる"