「でも、ケータイ置いてってるし、どこにいるのかわかんない…」

「…漫画とかドラマだったら、思い出の場所とかにいたりするじゃない?そーゆーのは、ない?」

「そんなわかりやすいとこにいるかなー?」

「でも、イモ子も一理あるかもよ。クモが簡単にユキを手放すとは思えないし、ユキが見つけれるとこにいると思う」

クモの性格から言って、多分ユキに見つけてほしいのだろう。

「…よく、二人で行く場所とかある?」

「えー………ホテルかな?」

「…………………」

「……な、なんか初めてつきあったとことか」

イモ子はめげずに提案した。

「別に、告白とかしてない。気がついたら一緒にいるようになったって感じだから、記念日とかもないし」

「んー………手ごわいな………」

プルルルルル………

突然、ユキのケータイが鳴った。

「…クモ?」

ユキはケータイのディスプレイを確認して首を横に振った。

「……いや。客から…」

「そっか…」

(いきなり電話とか、かかってくるんだ…)

客との交流は、会っている時間だけとは限らないようだ。