「………………」

「………こうゆう事は今までもあった。その度にあいつがスネて、俺がなだめて………これから変わるからって言ってたのに、また似たような事繰り返してる………」

(ユキ…………)

イモ子はユキを案じた。

ユキが、クモの事でそこまで悩んでいたなんて…知らなかった。

「もういっそ終わりにしたほうが楽なんじゃないんかな…………」

「ユキ」

「何?イモ子」

イモ子はおずおずと話を切り出した。

「…前にユキが言ってた『人と人が完全に解り合うことはできない』って、間違ってないと思う」


「でも、伝えるのをあきらめたら、何も伝わらないよ?」

「………………」

「1回で伝わらなかったら、もう1回伝えればいい。3回でも100回でも」

本当は、こんな事が言いたい訳ではない。

でも、言わずにはいられなかった。

「私は、言うよ。面倒でも、辛くても、わかってほしい相手になら、1万回だって言えるよ」


「私は、ユキならできると思ってる」

「…………………」

「…ユキは?別に、もう会えなくなってもいいならいーんだよ?」

タイヨウはユキの背中に意地悪を言った。