太陽の家

「……少し、見に行ってみる?」

やっと落ち着いたイモ子とタイヨウが階段を上がると、ユキは自分の部屋に閉じこもっていた。


「ユキ?開けるよ」

タイヨウはドアを軽くノックして、すぐ開けた。

ユキは力の抜けたように、床に座り込んでいた。

「…クモ、どっか行っちゃったみたいだけど?」

「…いいよ、別れたから」

「いいの?」

「…………………」

ずっと黙っていたイモ子が口を開いた。

「ユキは、クモのこと、好きじゃないの?」

聞いてはみたものの…好きでもない相手と、あんな事ができるとは思えない。

「………………」

しかし、何も答えなかった。

「クモはお前に首ったけみたいだけど?」

タイヨウにも言われて、ユキは口を開いた。

「あいつは……俺が好きなんじゃないよ」

「え?」

「あいつの…大切にしてた妹の初恋が、俺なんだって。だから、こんなに執着するんだよ」

「……どういう事?妹さんて」

ユキは、壁に貼ってある一枚の写真を指差した。