太陽の家

クモはけだるそうに起き上がった。

そんな態度にも腹が立つ。

「泣かしてねーよ。本当の事、言っただけ」

「…本当のこと?」

「あいつの父親が借金のこして自殺して、他の家族は借金返済に苦労してんのに、自分はいい身分だなって」

「………………!」

開き直ったようなクモにムカついて、スネに思いっきりローキックした。

「くッ」

「…………………」

スネに相当きいたのか、顔をゆがませた。

「…このカス!」

「何だと!」

「……もういい!」

「何が?!」

クモは少しキレ気味に返し、ユキの胸倉をつかんだ。

「お前なんか…………」


「いらない」



「…………………」

「…………………」










長い沈黙のあと、クモは自分から手をはなし、階段を降りて行った。


玄関のドアを思い切り閉める音が、イモ子とタイヨウのいるリビングまで響いた。

タイヨウはリビングでイモ子の目を冷やしてくれていた。

「今の音……」

「クモだろうね。足音でわかった」

驚くイモ子とは反対に、タイヨウは何事もなかったかのように、キッチンでタオルをしぼった。

「足音聞き分けれるの?!てゆうか…追いかけなくていいの?」