「…………………!」

少し目を見開いて、タイヨウを睨んだ。

「仲よさげに、並んで歩いててさぁ」

「…だから?」

「別に♪ツケといて、また来る」

それだけ言い残されて、さっさとバーを出て行ってしまった。



閉店時間になり、後片付けをして店の裏口にとめてある車に乗りこんだ。

すると、ケータイのバイブが震えた。

画面を開くと、メールが1件ある。

『まだかかりそうだから、先に帰って。タクシーでも拾って帰るから。ごめん』

仕事帰りにユキを迎えに行くのが、クモの日課だった。

クモはケータイを閉じて、ポケットにしまった。



翌朝。

「じゃあ、行くから」

ユキは少し眠そうにあくびをした。

「ごめんね、こんな時間までつきあわせて……」

相手の女性も、徹夜で話し込んで、少し疲れてるようだ。

泣きすぎたのか、目が少し腫れている。

「いいよ。また何かあったら連絡ちょうだい」

「ん………」

エレベーターにのり込み、1階のボタンを押した。