太陽の家

「…俺、天国、行けるかな?」

「は?」

タイヨウの訳のわからない質問に、ユキは顔を上げた。

「イモ子、締めちゃったから、殺人未遂で地獄行きかな?」

タイヨウは、天井を向いたまま、たんたんと話している。

「何言ってんだよ」

「…死んだら、向こうで裁判とか、やってくれるかな?」

「そんなん、ないだろ」

「もしあったら俺は、正直に答えるよ。ユキが止めてなかったら、殺すつもり……」

ユキはタイヨウに軽く平手打ちした。

「いい加減にしろよ。そんな、死んでから……天国とか地獄とか、ないだろ」

「死んだことないのに、どうしてわかるんだよ」

「そうだけど、何でそんなにこだわんだよ。もっと、考えなきゃいけないこと、あるだろ」

基本的に現実主義のユキはイライラした。

「俺のなかでは重要だよ。もし、死んでからの世界があったら、そこには…俺の両親がいる」

「いいじゃん、それ」

「やだよ。今の俺は、あの二人を許せない」

タイヨウはそのままユキの肩にうな垂れた。

「タイヨウ……」