太陽の家

「俺も…仕事、遅らしてもらってるから」

ニートも、イモ子に続いて病室から出て行った。

部屋には、タイヨウと、ユキとクモとキャバが残された。

キャバは小さくため息をついた。

「やっとわかったよ。だから、あんた、イモ子にあんなに優しかったんだね」

「……うん」

「自分と、似たような痛みを抱えているから。同属愛みたいなもんで、別にイモ子の事自体は好きじゃないんでしょ?」

「そうだよ。俺は、イモ子に恋愛感情をもってみたことは、一度もない。だってそうでしょ?イモ子はユキが好きで、俺は冬美しか好きじゃないんだから」

タイヨウはハッと笑った。

以前のタイヨウなら、こんな笑い方はしなかった。

「妹さんのことは…今でも?」

「好きだよ」

キャバの微妙な質問にも、タイヨウははっきり答えた。

「タイヨウ、ハッキリ言うけど、妹さんは、もう決別してんでしょ?いくら想っても……不毛だよ」

「解ってるよ、俺だって。いくら好きでも、過去をひきずったって、どうしようもないって。でも、あんなに誰かを愛することは………もう、できない」