太陽の家

周りの戸惑いの声も無視して、タイヨウは土の中に何かを探しているようだった。

「何か、あるの?」

「………やっぱり」

タイヨウは自嘲気味に笑った。

「何も、ないや」

「どゆことや?」


深夜に夏生が家のドアを開けると、家の中には心配顔の冬美がいた。

『お兄ちゃん、また夜遊び?こんな遅くまで……』

『冬美は心配しなくていいよ』

『ちょ、頭から血が出てる!血!』

それは、夏生が酔っ払ってポールにぶつけた時にできた傷だ。

『大丈夫だよ、拭けば』

『やだ、病院行こうよ』

『いいよ、面倒だし』

夏生は冬美に冷たくあたり、布団もひかずに畳みに寝転んだ。

『頭だよ?打ち所が悪かったら……死ぬかも』

『いいよ、俺なんか……』

『え?』

『夏生なんか……死ねばいいのに』

夏生はそう呟いて、寝返りを打って、冬美に背を向けた。

『お兄ちゃん?』

『……………』

冬美の目から、涙がこぼれた。

『…私のせい?私が雨と、付き合ったから』

『…関係ないだろ。何でそこで冬美が出てくるんだよ』

『でも………』

『もう、寝るから………あっち行って』