「…知ってる」

「知ってたの?じゃあ、何で?何でそんな子好きなのよ?」

「わかんないけど………でも俺は、そうゆうとこも含めてキャバを好きになったんだ」

肩を掴んだ手から力が抜けてくのがわかった。

「直実…俺、本気なんだ」

「……私はもう、必要ないのね」

ガムは走って、ニートから離れた。

「ちょっと、直実」

「来たら殺す!」

人気のないところに駆け込んでいったガムを追うと、ガムはニートにナイフを突きつけた。

「あんなに一緒にいたのに、何でわかってくれないの?キャバなんかより、私のほうがずっと秀也のことわかってるし、必要としてる。あの子の何倍も、何億倍も」

「わかってるよ……だから、キャバに必要とされる人間になりたい」

「私……ダメなの。秀也が私の足元にいないと…生きていけないの…………」

「直実……」

ガムの瞳から涙がこぼれ、手が震えていた。

「お願い……行かないで。秀也がいなかったら、私、死んじゃう……」

「………………」

「私には、秀也が必要なのよ…」