「…っ、ぐは…ユイちゃ…君は、なんとしてでも…生きて、彼らを…」

ーーグシャリ

最後まで聞き取れないうちに魔物はロイを跡形も無く飲み込んだ。

「ロイ…ロイいいいい…!!!!」

私は構わず泣き叫んだ。
声が枯れるほどに、叫んで叫んで。

「美味かったろ?
さあ、もう用は済んだ戻って」

ロイを飲み込んだ魔物は、またも地面に戻っていった。
残されたのは私とミル。

辺りを見てもロイの気配、存在、何もなかった。

本当に…居なくなってしまった。

「そんなに睨まないでよ♪」

まるで何事もなかったように優雅に飛んでいる彼を見ると腹が立つ。

ロイが吐き出した血すらも、跡形も無く消えていて。
最初からロイの存在が無かったような…元々居なかったような。

そんなこと、しないで。

「ロイを返してよ!!」

「君がアイツを信じた。そうでしょ?」

違う。
そんなことない。

「君がアイツを守れなかったのは僕のせいか?」

…違う。

「アイツが僕に負けたのは力が無かったからだ。

アイツがダークネス リゼメントに勝てなかったのは
君を守りたいという意思が弱かったからだ。

アイツが死んだのは君が無力だったからだ!!」

「違う!!黙れ!!私に力があればロイを助けられたかもしれない。

でも、それ以上ロイを馬鹿にしないで!!
アンタが居なきゃロイは死なずに済んだ!!」

私がロイを信じてしまったからだ。
自分を信じ、ロイを助ける方法を選んでおけばよかった。

そうすれば、ロイは死ななかった。

「アイツなんて生きてようが死んでようが同じでしょ」

ブチリと。
私の中で何かが切れる音がした。