ただ、ぼんやりとミルの気持ち悪い獣の手を見つめるしかできなかった。 殺されるかもしれない恐怖と。 ロイが殺されてしまった恐怖。 こんなにも私は弱かったんだ。 自分ひとり守れない、弱虫なんだ。 もっと色々しておけば良かった。 もっとちゃんと言いたい事を言えば良かった。 目を瞑る私だったけど、一向に痛みも何も襲ってこない。 「………?」 不思議に思って目を開くと…。 「…っ、ロイ…!!」 ボロボロの体で私の前に立つロイが居た。