「ユイさん。
貴女は戦わなくて良いですよ。…手を汚すのは私達だけで充分ですし
それに、何も分からない貴女に期待などしてません、私達は貴女を…
ユイさんを守る騎士ですので。
足手まといとか何かしなきゃ、とか思わないで下さい。ね?」
私の横を歩くルイが独り言を言うように、つらつらと話し出す。
言い方は少し冷たいけれど、ルイなりの優しさなんだろうなって。
私が一人で不安になってるのを知ったから呼び捨てで呼ぼうとか
今も私を励ましてくれてるんだ。
変に一人で抱え込まないように。
でもね、ルイ。
ルイもとても悲しそうな表情するんだよ…?
シキと同じように。
「手を汚すのは私達だけで充分」
その言葉を発したとき、ルイは確かに自分の手を見ていた。
左利きのルイは左手を見て拳を作り、ギュッと握っていた。
悔しそうな、悲しそうな表情してたよ。
ルイもシキも自分の手を汚すのが堪らなく怖いんだよね。
どんどん自分が自分じゃなくなるような感覚に苛まれるんだよね。
本当は、誰よりも辛くて苦しかったんだよね。
ユエだってそうだ。

