横目でシキくんを盗み見すると、やはり興味が無いのかそっぽを向いていた。
やっぱり嫌なんだよね…これって。
そんな事を気にしていない様子のルイさんは私に耳打ちする。
「ユイさん、試しにシキの事を呼び捨てで呼んでみましょうか」
…と、そんな恐ろしい事を。
殺される、無理だよ絶対睨まれる…。
「ほら、早く」と急かすルイさんに私も半ば投げやりでシキくんの前に仁王立ちしてみる。
「し…シ、…シキ!!」
「……」
無言。
ただただ無言の空気と無言の圧力。
それでも負けず嫌いが発動したのか私は諦めることなく何度も呼ぶ。
「シキ!!」
「………」
「…シキ」
「…………」
「……シキ…」
最後の方は既に小さくなっていて。
何度も呼ぶ事にわたしの心はへし折られた気分だ。
「…んだよ。
そんな呼ばなくても聞こえてる」
「……!!」

