「ユエの治癒魔法は誰よりも優れてるが呪文がイマイチだな。ムーンって、笑える」
「そうですね、幼稚的とは私も思います」
シキくん…ルイさん…何気に酷い事言ってる…。
ユエさんはユエさんなりに考えてあの呪文にしたはずなのに馬鹿にされてるよ…はは。
「治してくれてありがとう…」
虫が鳴くような、今にも消え入りそうな声で呟くミルちゃんにユエさんは優しく微笑んでいた。
私は、何もできないな…治癒魔法だろうと防御魔法だろうと攻撃魔法だろうと、何一つできやしない。
ここにいる意味って何だろう…?
足手まといになってる…?
「ユイさん」
ふと、ルイさんが私に声を掛ける。
「は、はい…?」
なんでだろう、ルイさんと二人で話すとなると何故か敬語になるというか…気が引き締まるというか。
「呼び捨てにしましょうか」
「…へ?」
突然の申し出に私はすっ惚けた変な声を出してしまったらしい。
それに、頬が赤くなるのを感じる。
なんて声出してるのよ…私。
もう、ばかばか。

