ぼんやり見ると、ウサギは跡形も無く消え去っていて、残されたのは先程の草むらだけ。
何が起こったの…?
「…魔力で消しただけだ」
そう言うシキくんは空を仰ぐ。
私も釣られて見上げると丸い球体…と言うのはおかしいけど
天へ天へと昇っていく光の泡のようなもの。
そっか。
魔力ってやつでウサギは光の泡になって跡形も無く消え去ったんだ…。
ある意味で胸を撫で下ろす私だったけどシキくんの横顔がとても辛く、悲しそうだった。
…シキくん。
本当は戦いなんて嫌いなんじゃ…?
例え動物であっても人であっても殺してしまう事に変わりない。
…誰でも嫌だよね、そんな事は。
私もいつかそうなる日が来るのかな。

