「なにかの祭りでもしてるのかな…」

小さく独り言のように呟いた私だったがそれを聞いたシキくんが付け足した。

「この村はいつも賑わってる」

いつもこんなに賑わってるんだ…
なんか、良いなあ。

「さっ、行こうか」

その声と共に再び歩いた私たちだったのだけれどーー

ドンッー

「いたっ…!!」

ユエさんが歩いた途端に前を見ずに走って来た一人の少女がぶつかる。

手に持っていた紙袋を地面に落とし、そこから色とりどりのフルーツが転がり落ちる。

それを拾いながら私は彼女に声を掛けた。

「大丈夫!?」
「すまないね…大丈夫かい?」

どうやらユエさんと被ってしまったらしい。

「いたた…ごめんなさい!!
僕は大丈夫です…あの、えと…
ありがとう御座います」

私の手からフルーツを受け取って可愛らしい笑を浮かべる。
残り全てを拾い終えた時に彼女は瞳を瞬かせ、私達に問う。

「ユルシア村へ…?」

「ああ。」

シキくんがぶっきら棒に呟けば一人、そそくさと立ち去ってユルシア村へ行こうとする。

それに続くように私達も進むもうとしたのだけれど…。

「僕も…っ!!」