「 くっ…なんだ、この光は… 」

悪魔の声が聞こえて目を開くと地に足がついて、私の前にはさっきまで倒れていた三人が今度は私を護るように立ち塞がっている。

真ん中に立つシキの左手には紅く燃える剣が。
左側に立つユエの身体の周りには碧が輝き
右側に立つルイの右手には蒼が靡く短剣が。

その短剣には見覚えがある。

ルイのお父さんがくれたものだと。
あの時…亡くなった後で側近の方が時が来たら息子に託すようにと預かっていたらしい。

「 ——お前のおかげだ、ユイ
さんきゅーな。 」

シキが珍しく素直で、瞬きを繰り返す。

「 アレが——カナちゃんだったもの、か。」

「 奴が悪魔なら…ユイさんは天使、ですね 」

クスリ、と笑みを浮かべたルイの言葉に首を傾げるもその言葉の意味に気づいた頃には私は大きな声をあげていた。

「 な、なんなのよコレ!?!? 」

温かい光に包まれて背中に違和感は確かにあったけど、こんなの聞いてない…。

緩くカールのかかった白髪は埃風にさえなびいて
私の両腕から覗くのは天使の羽根だった。

ふわふわの羽毛みたいなそれを背中に纏って、角や尻尾なんて生えてないっぽいけど羽根って……。

「 ぐぬぬ…お前もついに覚醒してしまったのか。
しかも、黒ではなく白い方とはな… 」

黒い方、だったら私もあんな風になっていたのだろうか?

「 今度は俺達が —— お前を倒してやる 」

それぞれの瞳は紅、蒼、碧…と、妖精たちが託した力を全力で使っているのか綺麗に輝きを放つ。

もう、負けない。

私が貴方達を勝利に導く天使になってあげる。

心を蝕む黒ではなく、心に安らぎを与える白に。

「 —— 私達は、もう!負けない!! 」