「 ユイさ…っ、! 」

辛うじて瓦礫に背を預けながら治癒を施すユエの前に横たわるのは顔を苦痛に歪めたルイだった。

私が吹っ飛んできてビックリしてるのだろう、まだ治っていない身体を動かし起き上がろうとするのをユエが制した。

両の手をルイ、シキの腹部に当てて傷を癒しているけれど、自分の傷はまだ完治していないらしい。

「 っはは、…私も情けない…かな…? 」

体全部が痛いと悲鳴を上げているのは分かっている。
ミシミシと聞こえる自分を持ち上げようとするも、その力は出ないままうつ伏せで倒れる。

もう誰も立ち上がれない。

傷が治るより先に、奴に負けてしまうのが目に見える。

「 二人の治療が終わったら…次はユイちゃんを助けるから…もう少し待っててくれるかい…? 」

「 —— もう、いいんだよ…勝てっこないよ… 」

皆こんなにボロボロなんだ。

そうだよ。

端から勝てる見込みなんてなかったんだ。

なあんだ、簡単なことじゃない。

シキが倒れた時点で悟るべきだった。

そっと目を閉じて最期が訪れるのを待つ。

諦めた心に灯る火はもう何も無い。

私の言葉に二人は何も言わずに悔しげに唇を噛み締めているのが目を閉じる前に見えたけど、私にはもう戦う力も、立ち向かう気力も何も残ってない。

おやすみ。

私はよく頑張ったよ。

だから、もう…ここで————

『 諦メナイデ 』

また、この声だ。
意識を手放そうとすれば聞こえてくる私に似た、私自身の声。