「 ……、 」

開いた扉の先に広がるのは足元に敷かれた長い赤色の絨毯。

その先にまるで玉座に座るように脚を組んでこちらを見つめるカナさん。

と、その後ろには相変わらずフードを深く被ったベルガ。

あとの二人はどうやらこの場には居ないようだけど…一体、なんだって言うのだろう。

圧倒的な力を前にしたように私は声が出せなかった。

口内に溜まる唾を飲み込み浅い呼吸を繰り返す。

そんな私に気付いたのかシキは優しく一瞬ではあるが背中をさすってくれた。

—— ああ、この手を私はやっぱり知っている。

その強ばった手なのに細い指先も。

あなたはやっぱり、あの人なんだって。

姿形は違えど、同じものは確かにここにあるんだって。

「 ありがとう、シキ。
でも私は大丈夫だから… 」

そう、笑いかけた。