どこからともなく聞こえてくるベルガの声にハッとして辺りを見渡すけど姿は見えない。

私たちに直接語りかけているのだろうか。

それにしても絶望の間なんて…。

待っていたという言葉に突然襲いかかる真似はせずにどうやら、目的の場所まで来てから全てを終わらせるつもりらしい。

—— 変な駆け引きがなくて幸いだけど、ここからもっと気を引き締めなくちゃ。

その声を聞いて私達は顔を見合わせて頷き一斉に走り出す。

長い長い螺旋階段を上り、広く長い廊下を進めば目の前には大きくて金色に輝く取っ手のついた部屋の前までたどり着いた。

ただ真っ直ぐにここへ向かってきたけど道中に折り道なんてなかったし、ここがベルガの言う-絶望の間-
だと思う。

「 ふう… 」

大きく息を吸って、吐いて。
そっと冷たい取っ手を掴み押せば重い扉は音も立てずにゆっくりと開いた。