「寄りてぇ所あんだけど、良いか」

薄暗く不気味な森を歩きながら呟いたシキの言葉に皆が首を傾げて見つめるも小さく頷く。

この辺はシキが詳しいと思うし
寄りたい所があるって事は もしかしたら重要な所かもしれない。

「こっち」

クイッと顎で脇道の様な場所を示せば草を掻き分けて進むも目の前に広がるのは この場所に見合わない岩で出来た高い壁。

「ちょ、シキ?
まさか…この岩を登って行くとか言わないよね?」

「んな訳ねぇだろ。着いて来い」

その言葉とともにシキは岩の壁を登るのではなく、そのまま前を見て歩き続けた。

「シ…ッ!?」

驚いて声を上げる私に対してルイやユエも目を見開いていた。

勿論、シキはぶつかる事なく岩の壁をすり抜けて行ったのだ。

…何、これ…
この岩の壁は本物じゃない…?

後を追うように私達も続けて その壁をすり抜け奥へと進んだ。