「そちらの女を渡してもらおう」

冷たく言い放つ。

ルイさんは私を降ろすと「下がってください」と言い、シキくんを呼んだ。

私の腕の中にロイを放り投げる様に渡してルイさんの隣に立つ。

…でも、投げ方は優しかった。

「アイツ…もう少し手柔らかに扱ってくれないかな?すごく不愉快なんだけど!!」

「まあまあ…」

苦笑いを浮かべながら私はロイをギュッと抱きしめて二人の後ろ姿を見た。

「ふんっ…」

弓矢を持った彼女が鼻で笑ったのとほぼ同時ほどに私の身体は大きく傾いた。

まるで見えない何かに押されるように。
咄嗟にロイを地面に投げて私は精一杯、手を伸ばした。

二人に助けて欲しくて。