「う、うわぁあああ!」
「早く、早くレイ様をーー…」
「嫌だ!まだ死にたくない!」
色んな騎士達の声がまるで遠くから聞こえるようだった。
ルイの体力的な問題で防御魔法を全体に張れなかったのだ。
…張れても私達だけで精一杯。
瓦礫に潰される騎士。
破片で怪我を負う騎士。
逃げ惑う騎士。
レイさんを護る騎士。
その、どれもがスローモーションに見えた。
怖くて、足が動かない。
そんな中、砂埃と混じって中央に人影のようなものが現れる。
数にして約二名…ほどだろうか。
「忘れるなど、以ての外。
その身を呈して償ってもらおうか…貴様の娘のようにな」
「…お前は…!!」
女の人の声とレイさんの声。
砂埃の中から現れたのは一人の女の子とフードを深く被った人。
…話しているのは多分女の子。
私と年なんて正直変わらない気がする。
その子は艷めいた腰まである漆黒の黒髪にやけに肌が色白で、ぱっちり二重の ぷっくりと桜色をした唇。
それに反するように瞳は血塗れのように真っ赤だった。
シキのルビー色とはまた違う、赤黒い…本当に血の色。
身長は…150cmぐらいに見える。
服装はやっぱり黒を基調としている。
でも、この人は何だかゴスロリ衣装っぽくて…少し恐い。
フードを深く被っている人は顔が見えないためか私からは余り分からなかった。
ただ、今この宮殿内には物凄く不穏な空気だけ漂っている事は分かった。

