「ルイ様がお見えになったぞ!
早く王を呼べ!」

私達が城内へ足を進ませると色んな騎士が驚いたように目を見開いて叫んでいた。

そんなに慌てるようなことでもないと思うんだけど…。

ルイが帰って来て嬉しい。

そう思う人は居なさそうだ。
皆、どこか怪訝そうに…早く帰れと言わんばかりに見つめてくる。

そんな態度に私がイライラしたのも、言うまでもない。

「ほう、やっと来たか

怖くて腰を抜かし、逃げ出したと思ったんだがな」

クク、と喉の奥で笑う王様を見て背筋に悪寒が走る。

笑い方が不気味すぎる。
何かを企んでいるような。

どんなに私が確実な証拠を突き出したとしても…この人は、私達を殺す気なんだって。

「遅れてすみません、王様」

イライラしてた私はわざと『王様』を強調してやり負けないほどの笑みを向けた。

それを合図に王様側の騎士、
私側の騎士は一切話さなくなった。

今から私と王様以外は口を出すなと。
誰一人として口を開くなと。

暗黙の了解のようにシンとした静寂だけが私達を包み込む。